ポリラボ ~多言語学習研究所~

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仏検1級2次試験について

こんにちは

ブログを読んでくださりありがとうございます
 
今日は仏検1級の二次試験について書いていこうと思います
 
仏検1級の二次試験は、合格すれば晴れて仏検の最上位級である1級に合格ということで、受験者にとっては「仏検最後の壁」ということになるでしょう。
一次試験を突破するのは楽ではなかったとおもいます。
その難関な一次試験を突破した方には、このチャンスを絶対に逃してはほしくない、そう思って少しでも僕の経験が役に経てばと思い、この記事を書くことにしました。
 
 
1.二次試験の流れ
 
二次試験は入室3分前に問題が2つ書いてある紙を渡され、考えをまとめておくようにと指示されます。
その後、入室したら、どちらを選んだかを伝え、それについて3分間話します
話し終えたら、話した内容についての質疑応答が行われます。
入室から退室までおよそ9分程度となっています。
 
2.試験内容
 
入室前に渡されるカードに書かれた問題のうち、【A】の問題は政治的・時事的な内容のものが多く、【B】の問題は日常生活に関連があるものが多いと言われています
 
仏検のホームページで公開されている過去問を見てみましょう
 
【過去問サンプル】
A :Selon vous, le gouvernement japonais devra-t-il élaborer, voire changer sa politique en matière d’énergie et d’environnement ? Pourquoi et en
quoi ?

B :Selon vous, le « sumo » est-il un sport ? Pourquoi ?
 
A :On a souvent dit à l’étranger que les Japonais, frappés en 2011 par un enchaînement de catastrophes sans précédent, avaient révélé une
certaine « sagesse ». Qu’en pensez-vous ?
 
 
引用:仏検ホームページ過去問サンプルより
 
 
ここに掲載されている問題をみても、やはりAとBには上記で述べた傾向があることがわかると思います
 
 
3.どちらを選ぶべきか?
 
これは僕が受験前に聞いたことなのですが、Aの問題を選んだほうが点数をもらえる、とのことでした。
しかし、これに関しては公式発表はないですので今となってみれば疑問です
しかし、政治的・時事的問題に興味を持ち、それをフランス語で言おうとすることはBの問題よりも知識や教養、多角的考察能力が必要とされると考えられるので、基礎点というものがあるのならば少し高めに設定されているのかもしれません。
もちろん、選んでも、内容やそのフランス語が合格基準を満たすに値するものでなければならないのは言うまでもありませんが、、、
 
 
ではBを選んだ場合は得点が取りにくいかというとそういうわけではありません。
フランス語の能力を測る試験ですから、正しく意見をフランス語で十分に伝えられれば合格基準を満たすことはできるでしょう。
 
政治的、時事的話題について得意な人はA苦手な人はBを選ぶ形にはなるかと思いますが、AもBもどちらでも答えやすい方を当日選べる状態にあるのが理想かと思います。
 
 
4.対策方法は?
 
対策として、過去問をたくさんこなすことは絶対です。
どんな内容・レベルの問題が聞かれるのか、過去問を通して理解することが必要だからです。
しかし、残念なことに過去問の数が少ない(入手しにくい)ことや、過去問に解答例がついていないことから、本番でどう答えていいのかわからないという人が多いと思います。
 
ここで僕の話になりますが、僕は二次試験でAの問題を選びました
実は、仏検の前に英検1級を取得しており、そのときの口頭試験で時事問題についてかなり勉強をしたので、その知識を仏検にも応用することができると考えたからです。
 
実際、時事問題に関する知識を持ち、それに対する意見や考えうる解決策について日本語と英語で言う練習をしていましたので、事前にそれらをできるだけフランス語でも言えるようにして試験に臨みました。
その結果、無事に合格することが出来ました。
 
この経験から言えることは、英検1級もしくは準1級の二次試験で問われる問題を例題として使うことができるということです。
 
5.3分間で何をどう語るか?
 
3分間話し続けることは非常に大変なことです。
日本語でも1つのテーマで即興で3分話すのは大変ですよね。
僕自身、今となってはどの程度話したかは忘れてしまいましたが、少なくとも2分は話していたと思います。
 
では、どのような構成で話していたかについて話します。
正直なところ、これを話すのは今となっては少し恥ずかしいのですが、事実をお伝えします。
 
先程述べたように、僕は英検も受験していました。
そのため、英検の二次試験と同じように捉え、同じような構成で話を進めてしまいました。
 
英語では、1つの質問に対し、
1、立場を明確にする❨賛成、反対、理由がいくつあるかなどを述べる❩
2、その理由や根拠、関連事項、いわゆる主張のサポート部を述べる
3、結論❨1と同じことを別の言い方でする❩
というような答え方が大まかですがパターンとして存在します。
 
僕はこの考え方で仏検に臨んでしまいました。
 
しかし、本来ならばフランス流の答え方としてはこの考え方はあまり良くないと考えます。
 
この二次試験はいわばdissertationだと考えられます。
 
フランス的な答え方としては、簡潔に言うと
1、賛成の意見について考える
2、反対の意見について考える
3、上記2つを考慮した上で自分の主張を述べる
というものになります❨1、2は逆でも可❩
 
つまり、自分の主張を先に明確にする英語、自分の主張は最後に言うフランス語、この違いを恥ずかしながら当時の自分は知りませんでした。
 
しかし、理想的な構成ではなかったのですが、合格点を十分超えて得点することができましたので、解答の構成を間違えても合格できるということになります。
 
ただ、この構成で考えられれば、最低でも2分は十分に話すことができるので、しっかりと構成をたてられるように普段から練習すべきだと考えます。
 
今話した構成についてはAの問題だとやりやすいのですが、Bの問題でも多角的に考えるというdissertationの考え方が使えると思います。
例えば、サンプル問題の
Selon vous, le « sumo » est-il un sport ? Pourquoi ?
 
ですが、切り口としては
1、相撲の定義
2、スポーツの定義
3、スポーツではないなら何なのか?
4、他のスポーツとの比較
5、なぜスポーツでないという質問が生まれるのか?
などという観点から多角的に思考し、最終的に自分が相撲がスポーツかスポーツではないかを述べることで最後のPourquoi?ならびに質問全体への回答となると思います。
 
もう一問見てみましょう
Le mot japonais « kawaii » (mignon) est passé dans le vocabulaire de jeunes étrangers. Comment expliquez-vous ce phénomène ?
この問題では
1、kawaiiの定義とmignonとの違い
2、どのようにして、またはなぜkawaiiは広まった?
3、kawaiiを使う若者の正体
4、kawaiiはこれからも使われるか? 
というような角度から捉えられば話す内容を増やすことができると思います。
 
このように、Aを選んでもBを選んでも、多角的に考察する力が必要になってくると思います。
コツとしては、問題に対する直接的な答えだけではなく、その答えに至るまでの考えを例などを交えながら話していくという感じです。
 
6、まとめ
途中でも言いましたが、正しいであろう回答の構成に失敗してしまっても、合格することはできます。
 
しかし、今述べてきた考え方をしないと30秒程度で終わってしまうということも考えられます。
さすがにそれでは評価されない可能性が高いですので、フランス語で言えない場合は日本語で言えることを増やす練習をすることから始めるといいと思います。
 
3分間の発表の後には質疑応答がありますが、これについては自分の回答に関するものになりますので、練習の時からただ意見をいうだけでなく、どのような質問が来るのか予想しておくと良いかと思います。
 
今回の記事は以上になります。
1級二次試験を受けられる方が最終合格を手にできることを心よりお祈りしております。